高齢者の口腔ケア4

認知症の予防に
噛む刺激。

高齢者の誰もが不安になる認知症。認知症には複数のタイプがあり、もっとも多いのは脳内の神経伝達物質の減少などが影響していると考えられているアルツハイマー型、その次は判断や論理を司る脳の前頭葉が萎縮する前頭傾斜型があります。原因はさまざまで、解明されていないところも多い認知症ですが、いずれにしても噛む能力が低下し、脳への刺激が少なくなることで発症リスクが高まると言われています。食べ物を噛むことはもちろん、視覚で色形を愉しみ、嗅覚で香りを愉しみ、聴覚で音を愉しみ、五感を大切にした食習慣を心がけることが、脳に刺激を与え、認知症を予防することにつながるのです。

上の図は、65歳以上の認知症でない、愛知県の住民44251人を4年間にわたって追跡調査したものです。その結果、年齢、疾患の有無、生活習慣に関係なく、歯がほとんどないにも関わらず義歯が未使用な人は、20本以上歯が残っている人に比べ、認知症のリスクが約2倍になることが明らかになりました。義歯を使用している人と、20本以上歯が残っている人では、認知症の発症リスクがそれほど変わらないことも特徴です。